
金属加工の現場では、技術や設備だけでなく、人と人との信頼が品質を左右することがあります。中国・東莞にある一つの協力工場。初めて訪れたときは、設備も環境も十分とは言えませんでした。しかし、そこには「必ず品質を上げてみせる」と語る社長の強い意志と、深夜に一人マシニングに向かい涙を流す姿がありました。本記事では、その工場がどのようにして品質を改善し、私たちの主力パートナーへと成長していったのか──その歩みをご紹介します。
品質は“人”がつくる
技術力だけではない、信頼関係の重要性
「品質は、設備だけでは生まれない」──私たちはそう信じています。金属加工や機械加工において、技術や設備の充実はもちろん重要だと考えています。最新鋭の設備がズラッと並んでいる工場もありますが、それ以上に大切にしているのがパートナーとの心のつながりです。
協力工場と理念を共有し、困難なときにも共に歩める関係こそが、真の品質を生み出すと信じています。
中国・東莞地区の協力工場との出会い
初訪問時の衝撃と社長の言葉
初めて東莞の協力工場を訪れたとき、私たちは正直なところ驚きを隠せませんでした。
照明は暗く、製造・検査設備も貧弱で4Sも行き届いていない状態でした。
しかし、工場の社長はこう語りました。
「今はできていない。けど、必ず品質を上げてみせる」
「何としても良い製品を作りたい」
情熱にあふれたその言葉に、私たちは心を動かされました。
現場改革の取り組みと成果
常駐支援と品質改善のプロセス
私たちはこの工場に対し、技術指導や品質管理の専門スタッフを常駐させ、継続的な支援を行いました。
最初は不良が頻発し、再製作の依頼も多く、決して順調とは言えませんでした。それでも社長は諦めず、現場と向き合い続けました。
深夜の工場で見た“社長の涙”
特に印象的だったのは、ある深夜の出来事です。納期に追われる中、社長が一人でマシニングに向かい、涙を流しながら作業していたのです。納期のプレッシャーや品質へのこだわり、そして悔しさが彼の涙となって表れていました。その姿を見て、「この工場、そしてこの社長なら大丈夫だ」と確信しました。
“主力パートナー”へと成長した工場の今
品質の安定と信頼の構築
改善活動を重ねる中で、工場の品質は着実に向上し、今では当社の主力製造パートナーの一つとなりました。お酒を飲む機会があるたびに、社長は今でも「辛かったけれど、阪井金属と一緒に頑張ってこられて良かった」と語ってくれます。
理念を共有できる“真のパートナー”とは
私たちは、このような製造現場における情熱や努力を、何よりも大切にしています。
多くの工場の社長が「品質は大丈夫です」と口にする中で、私たちは、機械加工やマシニングの技術力はもちろん重要だと考えていますが、最も重視しているのは、困難なときに共に歩んでくれるかどうかです。私たちのモノづくりに対する理念を、最後まで実現しようとしてくれる工場こそが、真のパートナーだと考えています。
この姿勢は、単に製造技術の面にとどまらず、ビジネスにおける人間関係にも深く関わっています。
本当に困ったときに、助け合える関係であるかどうか。私たちは、モノづくりだけでなく、人と人とのつながりを何よりも大切にしています。製品の品質を保つことはもちろん、それをつくる人々の心と努力を正しく評価することが、私たちの品質理念の根幹にあります。そして、それこそがやりがいと成功につながると、私たちは信じています。
お客様を大切にするのは当然ですが、最も厳しい状況の中で共に頑張ってくれるサプライヤーの存在も、私たちにとってはかけがえのないものです。このような強固な信頼関係こそが、私たちの製品とサービスの品質を、今も支え続けているのです。
まとめ ── 品質向上の鍵は、理念と人のつながり

代表 阪井 博史
金属加工の品質は、設備や技術だけでは生まれません。そこに関わる人々の情熱、信頼、そして理念の共有があってこそ、真の品質が実現します。
私たちはこれからも、この理念を大切にし、高品質な機械加工サービスを提供し続けます。信頼と共感を基にしたパートナーシップを大切にし、製造業界に新たな価値をもたらすことを目指しています。