| 2025年11月18日 |
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8年ぶりに訪れた中国・大連。そこで目にしたのは、驚くほどストレートな交渉と、成功を誇示するダイナミックな経営姿勢でした。日本の感覚とは大きく異なる彼らの「率直さ」と、何よりも大切にする「人との繋がり」から、中国ビジネスの強さの源泉を紐解きます。
先日、8年ぶりに中国の大連へ出張しました。弊社の協力工場が集まる南部の深センなどと比べると、大連は街並みが広々として整っており、マナーも良い印象を受けます。
しかし、その落ち着いた街並みとは裏腹に、現地の経営者たちには日本のビジネス感覚と大きく異なる明確な特性がありました。それが「率直さ」と「ステータス重視のダイナミズム」です。
現地の人々は非常に率直だと聞いていましたが、ビジネスの現場でもそれは顕著でした。
加工会社の社長と席に着くやいなや、挨拶よりも先に「仕事が少ない」「昔はもっと買っていただろう」「最近どうなっている」と不満が噴出します。さらに「そもそも阪井金属は物づくりを知らない集団だからダメなのだ」と、挑発的ともとれる発言から会話が始まります。
もちろん、気を悪くするようなことではありません。これこそが彼らの「率直さ」の表れなのです。
こちらからの見積もりの成約率が悪くないと伝えると、社長の姿勢は一変しました。「成約率が悪いのは阪井金属が物づくりを理解していないからだ」という批判はどこへやら、「もっと見積もりを出してくれ」「数やってなんぼだ」と要求が変わります。鮮やかな手のひら返しですが、どこまでも率直に「仕事と利益」を求めている証拠と言えるでしょう。
中国人経営者との大きな違いは、「ステータスの誇示」を強く重視する点です。
彼らは車や高級時計、ブランド服に惜しみなくお金を投じます。特に車は重要で、ベンツやBMW、アウディなどの高級車に乗るのが一般的です。良い車に乗れない社長は「儲かっていない=ダメな社長」と見なされてしまいます。
謙遜を美徳とし、社員や顧客の前では高級車を誇示しない日本人経営者の感覚とは大きく異なります。中国では「儲けること=美徳」であり、成功を具体的に見せるための投資こそがステータスなのです。
そしてこの意識は、経営における「投資のダイナミズム」にもつながっています。
日本の経営者が自己資本比率や安定性を重視するのに対し、中国の経営者は得た利益をすぐさま次の投資へ回します。知り合いには、自身の給与を株主配当のみにし、出た利益はすべて設備や土地建物に「全振り」する人もいます。この積極的な姿勢が、事業を拡張する原動力なのです。
実際、大連で取引を続ける工場は管理が極めて行き届いていました。特に顧客の信頼を得るため品質管理設備には力を入れており、三次元測定機などの高額設備を導入して、品質の裏付けを示すことを徹底しています。
もうひとつの大きな特徴は、人と人とのコネクション(繋がり)を何より重視する点です。
工場を訪れると、取引の有無にかかわらず「せっかく来たのだから食べていけ」と強く勧められます。「取引なしで付き合おう」「友達だから」という言葉もよく聞きます。建前だとしても、まずは食事を通して友人になり、人間関係を築くことがビジネスの出発点なのです。
社長室でお茶を振る舞われることから始まり、宴席の文化も独特です。
彼らは普段家で晩酌をしないそうですが、宴席となると話は別です。度数の高い「白酒(バイチュウ)」を取り囲み、ゲストへ次々と「カンペイ(一気飲み)」を求めます。日本人ゲストにとってはなかなか大変な時間です。
普段はお酒を飲まない従業員も、ゲストが来ると社長にやる気を見せたい思いや見栄から、進んでグラスを空けます。
さらに食事の席では、誰が支払うかで社長同士が「喧嘩」を始めることもあります。プライドとステータスをかけた支払いの取り合いは、日本人から見ると非常に興味深い光景です。
彼らは関係性を維持し、顔を合わせて話し、「縁を紡ぐこと」を何より大切にします。それこそが、中国ビジネスにおける強さの源泉なのだと感じました。
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